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15.口蓋裂・口唇裂 |
本症は妊娠中の胎児形成異常のために起こります。遺伝的要因または妊娠中の問題が原因かもしれません。
<症状>
慢性の鼻汁や発育不良、誤飲、誤飲による肺炎などを起こして、死に至ることもあります。 |
16.組織球腫 |
本症は組織球を母地とする腫瘍です。あるいは腫瘍細胞が組織球となんらかの形態学的類似性を示す腫瘍を示します。最近はリンパ腫の一部であることが判り、組織球腫の名前は使われなくなってきました。
<症状>
ドーム状の腫瘍で、急速な発育を特徴とします。
2歳以下の犬に多いです。
リンパ腫の一部なので、他に末梢リンパ節症、肝肥大、脾腫、嗜眠、拒食、体重減少がみられることもあります。 |
17.副腎皮質機能亢進症 |
本症は副腎皮質から分泌されるホルモン(電解質ホルモン・糖質ホルモン・副腎性性腺刺激ホルモンの3種)の
過剰分泌によっておこる疾患です。6〜7歳以上の高齢犬に多発します。3種類のホルモンのうち糖質ホルモン(コルチゾン)の分泌亢進を主体とするものをクッシング症候群といいます。
<原因>
副腎皮質刺激ホルモンの過剰分泌によるものと、副腎腫瘍によるものがあります。
<症状>
多飲・多尿・食欲亢進・皮膚の非薄化・痒みを伴わない左右対称性の脱毛・筋肉の脆弱化・嗜眠・皮膚の色素沈着・無発情・腹部下垂などがみられます。 |
18.甲状腺機能不全症 |
本症は甲状腺で生産・分泌されるホルモン(サイロキシン・トリヨードサイロニン)の欠乏によっておこります。2〜6歳の壮齢犬に多く、性差は認められていません。
<原因>
様々な要因があり、ヨード欠乏・誘発物質・甲状腺腫・甲状腺萎縮・下垂体性甲状腺機能低下症(犬では腫瘍による圧迫が多い)などが原因と考えられます。
<症状>
甲状腺ホルモンがエネルギー代謝・蛋白代謝・脂質代謝・ビタミン代謝などに作用する為、体温低下・嗜眠・無気力・倦怠・元気消失・運動不耐性・角化亢進・徐脈などがみられます。また、不妊・発情周期不全・精巣萎縮・筋力低下・脂漏症・角膜への脂肪沈着などが認められます。
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19.僧帽弁閉鎖不全症 |
僧弁帽は、心臓の左心房と左心室の間に位置する二枚の薄い弁で、心臓が収縮した際に心房と心室を閉鎖し、左心房への血液の逆流を防ぎます。僧帽弁閉鎖不全症は、この弁が完全に閉鎖できなくなり、心臓が収縮する際に全身に拍出されるべき血液の一部が弁の隙間から左心房内に逆流する状態をいいます。
左心房への血液の逆流の結果、左心房および肺静脈の圧が上昇し、肺における血液のうっ滞がおこります。
この状態が長く続くと心臓の機能が著しく低下します。
<症状>
本症発生当初は症状がなく心内雑音が聴診されるだけですが、進行すると咳が出てきます。この咳は主に肺のうっ血および肺水腫によるものです。肺水腫が重度になると、呼吸困難を呈し、チアノーゼになってしまいます。このままの状態で放置すると死亡する可能性があります。
<遺伝>
遺伝形式はわかりませんが、若齢での僧帽弁閉鎖不全症の発症は遺伝が関与していると考えられています。 |
20.不整脈 |
健康な動物は心臓の洞結節という場所がペースメーカーになって規則正しく正しい調律(正常洞調律)で心臓が収縮します。なんらかの原因で正常洞調律以外の調律や心収縮を呈するものを不整脈といいます。
<症状>
不整脈があると、体の虚弱や運動不耐性や失神をおこすことがあります。 |
21.フォン・ヴィルブランド病 |
本症は第?因子に関連するフォン・ヴィルブランド因子の合成欠損による先天性の血液凝固異常です。
<症状>
皮下出血、鼻出血、歯肉出血、創傷時の過度の出血、発情時の出血の延長、血尿、消化管内出血などがみられます。
<遺伝>
常染色体不完全優性です。 |
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