成田空港第1旅客ターミナルにある官庁事務室の一角。「動物検疫所 出入国検査室」と書かれた扉を開けると、検査台に海外旅行から帰ったばかりの雄の雑種犬がおとなしそうに載っている。検疫官が聴診器を当てて健康診断をした後、バーコードリーダーのような読み取り機を背中に埋め込んだ個体識別用のマイクロチップに当てると、「ピッ」と音がした。
「準備さえしっかりしていれば、空港での検査は1時間以内で終わり、飼い主と離れることもありません」。農林水産省動物検疫成田支所の葛西桃子・主任検疫官が説明してくれた。犬は飼い主に抱きかかえられると、しっぽを振って、検査室を後にした。
家族同然の犬や猫も、海外に連れていく場合は、狂犬病の伝染を予防するため、輸出入検疫の手続きをしなければならない。旅行先によっては帰国時に最短で14日間、検疫所に預けなければならなかったが、一昨年の狂犬病予防法改正で、早ければ1時間程度で解放されるようになった。
「一番大事なのは、ペットの体調を万全にし、ケージに慣らしておくことです」と葛西さんは呼びかけている。
犬や猫の検疫 海外旅行に連れていく場合は事前に、動物病院でマイクロチップを体内に埋め込み、2回の狂犬病予防接種や、抗体検査などが必要。動物検疫所には輸入、輸出検査申請書を提出し、旅行先の輸出入条件も調べる必要がある。詳しくは動物検疫所のホームページ(http://www.maff-aqs.go.jp/)へ。 |
【読売新聞/2006年6月6日 「地域面」より】
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