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★ ペット最新事情 ★
〜「つらい体験」老犬介護 〜
「真夜中になると『うおーん』と何ともいえない声で鳴くんです。つらい体験でした」
東京都内の斉藤富美江さん(74)は、一昨年夏に17歳で死んだ愛犬ウララとの生活を振り返る。
ウララに老化の兆候が見え始めたのは、15歳ごろから。耳が遠くなり、目も見えなくなった。雷が嫌いでいつもおびえていたのに、平気で寝ているようになった。前が見えず、どぶに落ちたこともある。
小便を漏らすようになり、おむつも欠かせなくなった。散歩のため約11キロあるウララの体を抱えて出かけた。
最後の3か月間は夜泣きがひどく、夜間は2時間おきに興奮を静める薬を与えるようになった。近所に迷惑にならないよう、窓は閉めきったまま。
「居間でウララに添い寝しながら、チーズの中に薬を入れて食べさせていました」
日に日に衰え、苦しそうに鳴く姿を見て我慢できなくなり、かかりつけの獣医師に安楽死について相談したという。その翌日、ウララは静香に息を引き取った。
「亡くなったときは、内心ほっとした面もありました。家族として、最後までできる限りのことをした。今ではよかったと思っています」
犬は7歳ごろから老化の兆候が見え始めるという。大きさによって異なるが、一般的に小型犬や中型犬の場合、犬の11歳は人間の60歳、16歳が80歳にあたるとされる。
ペットフード工業会が2005年に行った調査では、犬を飼う世帯(家族2人以上)で、18.5%の犬は11歳以上。16歳以上も4.2%いた。
ペット関連用品メーカー「ユニ・チャームペットケア」(東京)は、2001年からペット用おむつを販売しているが、2005年度のおむつの売り上げが前年度比1.5倍になった。現在はペットの大きさに合わせ、5種類のおむつを扱っている。
千葉県佐倉市の若山動物病院では5年前から、獣医師らが動けないペットのために給排水設備付き専用車で往診し、床ずれなどの治療や入浴の手伝いを行う。
院長の若山正之さんによると、ペットの栄養状態や生活環境が向上した影響で、高齢化による介護などの相談が最近、増えてきたという。介護法がわからない飼い主は多く、落ち込む人も少なくない。
「長年暮らせば、飼い主はペットの老いと向き合う覚悟もしなければならなくなってくる。悩んだときは獣医師など専門家に相談し、自分が納得できる方法を見つけてほしい。それがペットとのいい思い出を残すことにもなる」と若山さんは話す。
ペットは、飼い主が最後まで責任を持って飼い続けてこそ、人間の暮らしに安らぎを与えてくれるはずだ。
【読売新聞/2006年6月3日 「くらし面」より】
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